ベトナムでは、夏の期間(5~8月)にかけて、数々の場所で蓮の花が咲き誇ります。そして、ここベトナムでお茶といえば、蓮茶(はすちゃ)が非常に有名で、蓮茶作りは伝統的な文化として大切にされています。蓮茶作りにおいては、蓮の花の香りが最も良い時期に行うことが重要で、特に5月~7月に最盛期となります。
今回は、伝統的な蓮茶作りを体験してきましたので、その様子をお伝えします。
まずは、蓮の花を摘むところから始まりますが、蓮の花が開く前の太陽が昇る前に収穫を終えることが重要です。乾かした蓮の花を使い、蓮茶作りのスタートです。なお茶葉は、タイグエン省のものを使用しているそうです。
次に、蓮の花びらを一枚ずつ丁寧に外していきます。
すべて外した後は、蓮の花の香を付けるために黄色いおしべの先の白い部分をやさしく外してお茶にまぶし、しっかりなじむように混ぜ合わせます。
本格的な蓮茶作りでは、お茶と白い部分を交互に敷き詰め、1日が経過した後に8時間ほど蒸気で煎り、乾燥をさせていくそうです。これらの工程を2週間ほど繰り返すことで、蓮茶が完成するのですが、手間と時間がかかることを実感しました。
今回は簡易的な方法で、蓮の花の中に直接お茶を入れて、香りを閉じ込める形をとりました。この方法だと、3日後くらいに香りがお茶に移りますが、すぐに飲まないとだめだそうです。
ここから仕上げに入ります。閉じた状態の蓮の花のつぼみを用意し、先ほどのお茶を入れていきます。量としては10~15グラム程度しか入りません。ちなみに、蓮茶1キログラムをつくるには、なんと蓮の花を1,000個用意しないといけないそうです!!
最後に、蓮の葉で巻いて縛り、真空パックにして出来上がりです。
この状態で冷凍すると1年ほど保存が可能だと教えてもらいました。
3日後に会社で蓮茶を煎れてみました。
作ったときはピンク色の花びらが、薄紫色に変わっています。
自分で作ったお茶ということを除いても、蓮の苦みを少し感じながら、おいしくいただきました。
蓮茶作りを体験できるのは短い期間ですが、ぜひ機会があれば、伝統的な蓮茶作りを体験していただきたいと思います。本物の蓮の花から手間暇かけて作り出される蓮茶は、その香りと美味しさに一層感動すること間違いありません。