ベトナムの伝統的な食事は、その多様性と美味しさで国際的に称賛されており、ベトナムの歴史、文化、気候が深く影響しています。今回の記事では、ベトナムの伝統的な食事とマナーをご紹介いたします。
まず、ベトナムの伝統的な食事は新鮮で多様な材料で作られています。豊かな自然環境が提供する新鮮な野菜、ハーブ、魚介類が広く使われ、これがベトナム料理の独自の風味を生み出しています。また、主食は米であり、麺など様々な形で提供されることが一般的です。これらの食材の組み合わせにより、栄養バランスの取れた食事が実現されています。また、ベトナムの伝統的な料理は季節に応じて変化し、地域ごとに特色があります。
『北部』の料理は一般的にはっきりとした味わいで知られています。食事には通常 3~4 品の料理があり、汁物1品(野菜、つくねスープなど)、炒物1品(炒め豚肉など)、茹物1品(茹で鶏肉など)、味付け用に、塩やヌックマムという魚醤などが準備されます。見た目は地味ですが、盛り付けや皿の並べ方にも注目しておきたいです。茹で鶏肉は必ずライムの木の葉と和え、ニンニクで炒めた料理はそのニンニクをのせて食べます。また料理をスパイスやヌックマムに付けて食べるとより美味しくなります。
食事のマナーについては“食事より挨拶が大切”と家庭でしっかりと教えられています。特にハノイの人は食事のマナーに最も厳しいと言われています。子どもは食事の前に必ず、「おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、ご飯を召し上がってください」と言わなければなりません。とはいえ、食後はみんなでお茶を楽しみます。北部の人はお茶が好きというだけでなく、お茶を飲んでリラックスしながら、おしゃべりするのが習慣なのです。
多種多様な海の幸が豊富に手に入る『中部』では、ヌックマム、塩辛「マム/ Mắm」、唐辛子などを使用した辛く刺激のある味付けに特徴があります。中部料理の代表格、牛肉入りピリ辛 スープ米麺「ブンボーフエ/ Bún Bò Huế」、「エビ塩辛/ Mắm Tôm」、「シジミの汁かけご飯/ Cơm Hến」などは地元住民だけでなく、観光者にも人気が高いです。海鮮が食べたい人には中部地方のグルメがおすすめですが、一般的に塩味と辛みが強い傾向があり、苦手な人にとっては食べにくいかもしれません。
次は、四季が無く、雨季と乾季しかない『南部』での食事を紹介いたします。上の写真の通り、ご飯が進む濃い味の主菜に、汁物、副菜が揃い、具がたくさんでボリュームたっぷりです。特に、豚の土鍋煮は祝日、正月、お祭りなどの大切な行事には欠かせない料理です。主な材料は豚肉、うずらの卵です。ヌックマッムと砂糖の甘からい味が肉にしっかりと染み込むよう、土鍋もよく使われています。
一般的には夕食は 17時頃から始まり、18時半頃には食べ終わります。食事の前に、北部のような挨拶はなく、各自が自由に食べ始められます。南部の知人に話を聞くと「食事の前の挨拶やマナーなど必要ありません。毎日、みんなで一緒にお喋りながら食べたり、飲んだりすることで、家族の食卓の温かみを感じることの方が大切だと思います」と話していました。南部の人は、「よかったら一緒にご飯を食べてってください」と心から招待するため、みんなと気軽に食事します。また、断られると非常に残念がり、「料理が口に合わないのかな」と感じる人もいます。
『北部』『中部』『南部』ではそれぞれ異なるスタイルと味付けがあり、地元の食材や調味料の違いが反映され、地域ごとの個性が表れています。それぞれの地域料理でもそれぞれの特徴があり、特別な珍味があります。
最後に、ベトナムの伝統的な食事は美味しさだけでなくヘルシーさにも注目されています。多くの料理が低脂肪であり、ハーブやスパイスが多用されているため、飽きずに楽しむことができます。ベトナムにいらっしゃった際には、是非いろいろな料理をお召し上がりください。