ベトナム初の都市鉄道が、昨年11月6日にハノイにて開通しました。中国政府の支援で2011年に着工しましたが、土地収用や安全検査などで遅れが生じ、運行開始まで10年の歳月を要しました。この都市鉄道は2A号線と呼ばれ、ハノイ市内の『ドンダー区カットリン駅』から『ハドン区イエンギア駅』まで、全長約13キロ、12駅となっています。中国製の車両で4両編成で運行されています。

2A号線は、ハノイ市内12駅、全長約13キロに渡る

コロナウイルスの状況も落ち着いてきたこともあり、休日を利用して乗車してきました。ハノイでの生活ではタクシーなど車移動が主だったため、電車に乗るのは久しぶりでしたが、開通後15日間は無料乗車期間があり、とても多くの乗客でにぎわっていました。

券売機で乗車券を購入。現金のみに対応している

 運賃は、片道8,000~15,000ドン(約40~75円)で、1か月の定期券は20万ドン(約1,100円)。乗車券は、券売機で購入しますが、現金のみに対応する形で、プラスチック製の切符が発券されます。

切符には、観光スポットにもなっている「文廟(ぶんびょう)」という孔子がまつられるベトナム最古の大学がデザインされている
改札は、日本と同じく上部に切符をかざすとゲートが開き、出るときはカード回収口に挿入する
車体は、前面が緑色、横はシルバーを基調として緑のラインが入るデザイン
乗車した日は、休日ということもあり、家族連れが多くみられた

4月から学校もオフラインとなり、朝夕の通勤時の渋滞がコロナ前のようにひどい状況となってきました。2A号線の各駅からは、路線バスへ接続されており、それらの利用増を見込んで市内の渋滞緩和などが期待されています。

ただし、ハノイ都市鉄道は2030年までに8路線(総延長318キロメートル)の開通を目標としておりますが、整備計画は遅延が相次いでいて、整備までにはまだまだ時間がかかると見込まれています。ベトナム南部ホーチミンでも日本の円借款による都市鉄道を建設していますが、コロナウィルスの影響などで計画に遅れが生じている状況です。

それでも将来への第1歩を踏み出している都市鉄道。
引き続きベトナムの交通インフラの発展を願いたいと思います。