ここ数年、順調な経済成長を続けているベトナム。2014年以降、GDP成長率は毎年6%以上で推移し、コロナ禍であった昨年2020年もプラス成長を保った世界でも数少ない国として、ベトナムは、現在、世界中から注目されています。

そんなベトナムの人々の主な移動手段はバイク。ハノイやホーチミン市などの大都市圏は、昼夜を問わず道路はバイクでびっしりで、クラクションが鳴り響く、それがベトナムの日常的な風景、成長している国の勢いを最も強く感じる瞬間でもあります。加えて、ここ最近は、経済成長により所得が高まってきたこと、そしてGrabをはじめとした配車アプリの普及に伴い、車も急激に増え、街中の渋滞が年々ひどくなっています。

そうした中で、最近課題として浮かび上がってきたのは、大気汚染の問題です。少し前までは、「大気汚染=中国」というような印象を持たれている方も少なくないと思いますが、今や北京や上海の大気汚染はだいぶ改善され、代わってここベトナムの大気汚染は深刻さを増してきています。

私たちが仕事をしているハノイでも、毎年12月~3月くらいまでは、何と四半期に渡って、太陽がほとんど見えない時期が続きます。もちろんそれは天気の影響もありますが、どうやらそれだけではないのです。

下に写真を添付いたしましたが、これは残念ながら、ただの霧ではありません。やはり汚染がひどい日は目で見てもそうですし、匂いも何か独特な匂いがする気がします。

そうした環境もあり、ベトナム人や駐在員は、多くの人がこんなアプリをスマホにいれていたりもします。こちらは、『AirVisual』というアプリ。

このアプリは、現在地の大気の汚染度を数値化してくれたり、大気汚染予報をしてくれたりといった天気予報の大気版のようなアプリで、機能として世界中の大気汚染のランキングなどもあったりします。

冬場のハノイは、たまにこのランキングで世界No.1になってしまう日もあるのです。ちなみに、日本国内各所の数値も見ることができるのですが、日本は一桁の都市も数多くあり、日本の大気の綺麗さは、世界的に見ても素晴らしいことが改めて分かります。

もちろん、ベトナムもこうした課題は強く認識しており、現在は、都市鉄道の整備や工場の排水規制など、大気だけでなく、水質など、様々な分野でも環境問題の改善にも着手してきています。ハノイでも、都市鉄道のテスト運転が頻繁に行われており、そろそろ開業も近づいているようです。

昨年くらいからは、世界中でSDGsが注目されるようになったのは周知の通りですが、ここベトナムにおいても、経済の成長を追い求めるのはもちろん、こうした持続可能な社会づくりが求められてくるものと思います。そうした社会が実現すれば、ベトナムは世界中からより注目され、愛される国になれるかもしれませんね。